2005年11月27日

11月上旬、米州首脳会談が開催されたアルゼンチンのマル・デル・プラタにおいて、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は「『全米自由貿易協定は死んだ!われわれアメリカの民衆がFTAAを葬った』と宣言した。新自由主義と帝国主義に反対する民衆が結集するここが、真の米州首脳会談だと付け加えた」(引用元)。そのチャベスが提唱しているFTAAの代替案であるALBAとは何なのか。以下は「対外貿易銀行Banco the Comercio Exterior(スペイン語リンク)〕(Bancoex)により出版されたALBAに関する情報の要約である。」(英文引用元


ALBA:中南米とカリブ諸国のためのボリバル代替案
〔ALBA: Bolivarian Alternative for Latin America and the Caribbean:Original Article in English/ZNet 原文

テレサ・アレアサ〔Teresa Arreaza〕venezuelanalyisis.com;2005年2月13日

米州ボリバル代替統合構想〔ALBA〕Alternativa Bolivariana para las Americas)は、そのスペイン語の頭文字が示すように、米国が支援する米州自由貿易地域(FTAA、スペイン語の頭文字はALCA)に対する代案であり、後者と異なるのは、規制緩和された利潤最大化の論理に厳密に基づくものではなく、社会志向の貿易圏を提唱する点である。ALBAは、必要な援助のもと、先進諸国の指令の下でのこれまでの実情よりも有利な条件で、諸国が貿易交渉に参加できるようにするため、人類にとって本質的である公正と平等という平等主義の原則、社会の最も疎外された部門の福利、そして西半球の低開発諸国に対する再活性化された連帯の意識を訴えている。

貧困を撲滅する、より効果的な仕組みを用いることにより、ALBAは――ベネズエラ政府の提案によると――FTAAの政策と目標に対する均衡勢力〔counterweight〕を提供する。この代案モデルは同様に、多国籍企業の特権をしのぐ真の地域統合達成への最も重大な障害を識別している。立ちはだかる障害のひとつは、この半球の諸国間の発展に存在する深刻な格差であり、それにより、ハイチやボリビアの様な貧しい諸国が、世界の主要な経済大国と張り合うことを強要されていることである。貿易での不利な条件を克服するのを助ける為、ALBAは経済的に最も弱い諸国との連帯を推進しており、その目標は全てのメンバーが利益を得る自由貿易地域の達成である(誰も負けることのない同盟〔a win-win alliance〕)。

ベネズエラは経済を、最大の欠陥とその原則的な必要条件として取り扱う必要性を表明しており、より開発された経済と、今よりも有利な条件で競争するために不可欠である、経済基盤の開発を可能にするため、最低開発諸国への資源の譲渡を論じた。それを可能にするため、ALBA構想の基礎は「構造的集合のための補償基金〔Compensatory Fund for Structural Convergence〕」の提案であり、それは最も経済的に弱い諸国に対する財政援助を管理し分与する。

ALBAは内発的発展に賛成しており、また貧しい諸国の農業と産業部門の急増に貢献せず、貧困の撲滅に貢献しないという理由から、労働搾取工場(〔スペイン語で〕maquiladora)の産業が生み出す種類の雇用を否認している。

ALBAの制定法のもと、単なる輸出本位の活動としては作用しない一方で、農業は代わりに、利益創出の手順に集中する前に、全ての国の食の自給自足を優先させる。先進諸国が国内生産を保護する数百万ドルの補助金と、高い輸入関税を基にした政策を持続し、自由貿易の原則にはなはだしく逆らう限り、農業部門は故意に市場の自由化に委ねられてはならない。しかしながら、ALBAは、これらの諸国が保護貿易主義政策を排除したとしても、発展途上諸国の農業生産は依然として競争ができないと判断している。その理由は農夫や農業分野の先住民人口はそれまでどおり生産的な労働の源に手が届かないからであり、それによって、わずかな資源を持つ諸国において社会的除外の傾向が増大するのである。

ALBAはさらに知的財産権制度に反対しており、その理由は先進諸国が支配する科学技術的な知識の分野のみを保護し、それと同時に発展途上国が少なからぬ利点を有する分野――彼らの領地における生物の多様性や、農民と先住民族の伝統的な知識――を保護せずに置いているからである。この事実がさらに諸国間の不均衡を深める一因となっている。ALBAは、特許保護が、後発医薬品〔いわゆるジェネリック薬品〕を手の届く値段で、少ない資源しか持たない発展途上国の社会地域に配る可能性を抹殺する故に、医薬品の事例について特に憂慮している。そのうえ、特許保護は、どうしても必要な雇用の機会を創出する、後発医薬品製造の事業を開始する見込みを潰すのである。

ベネズエラ政府は、公平な価格によって、必要欠くべからざる良質な公共サービスを利用するという、人々の権利を守る政策を計画・遂行する国家の能力を制限する、自由化・規制緩和・民営化の過程を激しく糾弾してきた。それに反して、FTAAは公共事業の自由化と民営化を主張し、それゆえに、この大陸の数百万人の人々から、人間の生存に不可欠な基本的な公共サービスが剥奪されるということをほのめかしているのである。

ベネズエラ政府にとって、公共事業の管理は、企業の権益と個人の利益ではなく、人々の要求を満たすという方向に向けられなければならない。そのようなものとして、公共事業は社会的不平等を正すために必要不可欠なのである。その結果ベネズエラは、公共事業の規制、国内価格を規制する助成金の支給、市場価格での公共サービスには手が届かない大多数の国民に対する基本的な公共奉仕の利用の補償の様な、公共政策の手段の放棄を含む、いかなる貿易協定も容認できないとみなすのである。

FTAAが提案している「最恵国訳注1」や「内国民待遇訳注2」という肩書きは、国益に、より相応しい政策を追求することを決めた諸国の主権を深刻に脅かしている。〔FTAAの〕第一の規定は、国家がその国内で事業をしているいかなる外国企業よりも不利な待遇を、外国企業に対して与えないよう強要する。第二の規定は、小企業や協同組合も含めた、国の企業が受けている優先権と同じものを多国籍企業に与えるよう要求している。



訳注

:最恵国(Most Favored Nation)とは、最恵国待遇(Most Favored Nation treatment)を与えられる国のこと。最恵国待遇とは「条約当事国の一方が,その領域において,現在および将来に任意の第三国国民に与えるのと同様の利益を,条約の他方当事国の国民にも与えること。」(参照元)。

:内国民待遇(National Treatment)とは「他国民を自国民と差別せず同等に待遇すること。主に通商航海条約において,税金,裁判,契約,財産権,法人への参加その他の事業活動などについて規定される。」(参照元


補足:

なお、ALBAの日本語名は統一されておらず、

米州ボリバル代替統合構想
ボリーバル代替統合構想
米州ボリバル代替構想
米州ボリバル代替案
米州ボリバル改革

等がある。



posted by Agrotous at 19:03 | TrackBack(1) | ベネズエラ
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