2008年02月05日

中南米のニュース報道:中途半端な報道はされない方がまし
〔Latin America News Coverage:
Half the Story is Worse Than None:Original Article in English/ZNet原文

マーク・ワイズブロット〔Mark Weisbrot〕AlterNet;2008年2月2日

〔文中リンク原文ママ〕

サウスカロライナ州予備選後「選挙に勝利するためなら何でも述べ、何でも行う」人々に言及して、バラック・オバマはビル及びヒラリー・クリントンに痛烈な言葉を浴びせた。

この候補者が何に返答していたのかに言及せず彼の発言を米国メディアが報道するのを想像するといい。(彼が応じていたのは、ビル・クリントン元大統領がサウスカロライナ州におけるオバマの勝利を1980年代のジェシー・ジャクソンのものに比較したこと――これは人種差別的な政治手段であると広く見なされている――及びヒラリー・クリントンの攻撃的な選挙広告に対してである)。

こうした重要な事実を省略することは米国において容認されるジャーナリズムであるとは見なされないであろう。 しかしながら中南米に関する米国の報道において、同一の基準が適用されることはない。

たとえば、ベネズエラ・コロンビア間の外交問題に関してマスコミは最近複数の報道を行った。これが重要な事柄である理由は、両国が共有する一千三百マイルに亘る国境が、準軍組織やゲリラによる暴力によって数十年もの間苦しまされてきたからである。 コロンビアのウリベ大統領に関するベネズエラのウゴ・チャベス大統領による外交的とは言い難い発言をマスコミは即座に報道した。チャベスは彼を「嘘つき」と呼び、大統領というよりは「マフィアのボスに相応しい」と述べた。

米国や英語の報道で欠けていたのは、チャベスが応じていた主要な出来事であり、それは実際に現在の論争の主な原因であった。 昨年〔2007年〕の大晦日の数日前にベネズエラ政府は、ゲリラ組織FARC (コロンビア革命軍)によってコロンビアのジャングルに捕らわれた知名度の高い人質の解放の準備を整えていた。 高レベルの国際監視チームが待機していた。その中にはアルゼンチンのネストル・キルチネル元大統領をはじめ、ブラジル大統領外交政策顧問のトップ、そしてフランス、スイス、ボリビア、エクアドル、キューバや赤十字からの代表達が含まれていた。

この作戦は失敗に終わり、非難の応酬がそれに続いた。ウリベ大統領はFARCが終始一貫して嘘をついていたのであり、彼らが人質を解放する意図を決して持っていなかった、と述べた。なぜなら彼らが解放すると約束していた3人のうち1人( 監禁期間に生まれた3歳の男児)が彼らのもとにいなかったからである、と。チャベス大統領はウリベが作戦を「ダイナマイトで爆破した」と怒りをあらわに非難した。 実際にはFARCは2人の人質を解放する準備ができていたのだが、コロンビアの軍事作戦から撤退を余儀なくされた、と彼は述べた。ウリベ大統領は、彼の軍隊が彼の命令の下、解放を許すべく停戦を維持していたと主張した。誰が真実を語っていたのか?

二人の人質、コンスエロ・ゴンザレスとクララ・ロハスが1月10日に最終的に解放された時、コロンビア元下院議員のゴンザレスは次の事をマスコミに語った

「12月21日、私たちは彼らが私達を解放する場所に向かい歩き始め、20日近く歩き続けました。その間何度か私たちは走るのを余儀なくされました。兵士が非常に接近していたのです」と彼女は述べた。アルバロ・ウリベが解放の最終期限に定めた当日、彼女達が位置していた地域にコロンビア軍がこれまでで最悪の攻撃を仕掛けた、とゴンサレスは嘆いた。 「31日に、非常に大規模な動員が行われることに私達は気付き、そして私達が今にも解放されるというその時に非常に大きな爆撃があり、別の場所へと即座に移らなければなりませんでした。」

ゴンザレスの証言を問題にした英語圏の記者は一人としていなかった。それは単に報道されなかった。唯一の例外はAP通信の記事であり、その記事中においてもわずかに触れられたのみであり、ほとんどの新聞から編集時に除外された。この極めて重要な情報を省くことによってメディアは、コロンビア政府がチャベスを窮地に陥れ、作戦を頓挫させる試みに思われる行動として、その取り引きの約束を破り、人質の命を危険にさらした事実を読者から覆い隠した。

こうした類の中南米に関する報道はあまりにもありふれている。たとえば、エボ・モラレス政権下のボリビアの民主的な政府は、その国の先住民族で構成された大多数に対して行われてきた数世紀に亘るアパルトヘイト的支配を覆すことを目指している。けれども米国メディアにおいてこの尽力は、大統領による「権力掌握」として、また「チャベスの事業」であると頻繁に描かれている。エボ・モラレスがウゴ・チャベスに出会う以前から、憲法改正がボリビアの強靭な社会運動の長年の要求であり続けたという事実にもかかわらずである。極めて重要な情報を省略することは誤った印象を創出するうえで重要な役割を担う。 従って、 「野党議員らの立会い無しに憲法改正案が通過した故にボリビア東部の知事達は憲法改正案に反対している」とCNNは報道し、その野党議員たちが議会をボイコットしていたことに言及しなかった。(この報道は更に、この新憲法が「モラレス大統領が無期限に大統領に立候補する」ことを可能にする、と誤って記述した。)

論説委員らはこの「中途半端な報道」を用いて、中南米の新しい民主主義の数々を「権威主義的」あるいはそれよりも酷いものとして非難する更に誇張された社説を書いている。その結果として、中南米のニュース報道を追う者たちは、それを無視する者たちよりも劣る理解を手にすることになる。


マーク・ワイズブロットはワシントンDCの経済政策研究センター〔CEPR〕の共同ディレクター(www.cepr.net)。

posted by Agrotous at 20:04 | TrackBack(0) | 中南米全般
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