2005年09月30日

湧き上がるベネズエラ
ボリバル革命の庶民の声
〔Venezuela From Below
The voice of the rank and file of the Bolivarian Revolution:Original Article in English/ZNet原文

ダリオ・アセリニ&ジョージ・マーティン〔Dario Azzellini and Jorge Martin〕www.handsoffvenezuela.org;2005年6月30日


ダリオ・アセリニは新作ドキュメンタリー映画「湧き上がるベネズエラ〔仮訳〕」の共同制作者である。ジョージ・マーティンは〔ウェブサイト〕「Hands Off Venezuela〔ベネズエラから手を引け〕」の為に、その映画と彼のボリバル革命に対する見解を聞くため、彼にインタビューした。

ジョージ・マーティン〔JM〕あなたはどの様にして映画の着想を得、ボリバル革命とはどの様な結びつきがあるのですか?

ダリオ・アセリニ〔DA〕そうですね、1980年代の終わり頃から私は中南米を旅し、働いてきており、その政治的・社会的問題に興味を抱くようになりました。さらに、現在私は37歳なのですが、12歳の頃から、左翼政治の活動家でした。このドキュメンタリーを制作する前に私はベネズエラを数回訪れました。庶民について私が最も感銘を受けた事は、ベネズエラで起きている変容の過程において、彼らが自ら組織し、自ら対策を講じる多大なる力と能力についてです。

ベネズエラに関する大変良質なドキュメンタリーがいくつかありますが、それらが欠いているもの(私と共同製作者のオリヴァー・レスラー〔Oliver Ressler〕の意見)は、民衆自身が現在起きている事をどう見ているのか、この革命の過程の始まり以来彼らの生活がどう変わったのかを語るところです。他のドキュメンタリーは〔革命の〕枠組みを説明する事と、〔2002年4月の〕クーデターの間何が起きたのかに焦点を当てています。実行されている計画について語られる場合、たいてい政治家か「代表者」が、何が起きているのかを語るのです。

私たちは、少なくとも人々の中から生じる変化に対する力の一端を伝える為、人々自身が、起きている事、感じていること、彼らの生活を説明している所を撮りたいと望みました。また、私たちは人々が起きている事について非常に意識していることを示したいと望みました。彼らは、自分たちに何が必要か、何が実現されなければいけないのかを判っていますし、代弁者を必要としていないことも判っています。彼らはなんの支障もなく自ら語る能力があります。

JM:その通り、それこそが最も印象的な事の1つであり、私たちの見解では革命を定義する見地であり、人々が数万人という数で異なる種類の革命的団体を組織しており、彼ら自身の将来を自らの手に入れたという事実です。あなたのドキュメンタリーで私たちの関心を引いたのはそのことです。それが主に庶民の共同体、労働者の団体等の経験を明らかにすることを基本にしているという事です。

DA:それはとても重要な側面です。実のところ、それぞれが異なる革命に対する見解を持つ、現存する全ての別個の左派団体を含め、ベネズエラで起きている事に対し、私たちは驚きの余り目を見張りました。それは具体的な手段で組織されなければならない過程であり、それはあらかじめ考えられた見解に沿ってはいないのです。クーデターの時も、石油ロックアウトの時も、それが脅威にさらされていた決定的な局面の全てにおいて、この過程を救ったのは、自己組織された手段による、庶民の大規模な結集であった事を忘れてはならない。この事を過小評価してはいけない。この過程が先に進み、深まり、存続する唯一の希望はここにあると思います。

JM:ドキュメンタリーで明確に示されている別の側面は、労働運動の関与です。べネパル〔Venepal〕について、CNVについて、そして雇い主によるロックアウトを打ち破った石油労働者の役割についてのインタビューがありますね。

DA:はい、この側面も重要です。深い社会的変容の過程における主要な問題は、生産資産の所有権についてです。誰がそれらを支配するのか? 富の分配は必要だが、問題は根本的なレベルで処理されなければならない。従って、土地と労働についての問題は根本的な事なのです。問題はそれらに留まらない。他にも先住民、文化、共同体等の問題があるのだが、もし生産に対する所有権と支配権の問題に対処しないままならば、変容の真の過程はありえないのです。それだからこそ、占拠された工場の闘争の様子を提示する事は重要なのです。また、労働者と農民の要求に応じるか否かを見ることによって、革命的であろうとする政府の資質を評価することができるのです。

JM:私たちは又、過去数ヶ月チャベス〔ベネズエラ大統領〕が明確に不幸、不平等そして貧困という問題は資本主義の枠組みでは解決できないと述べたことを興味深く観察してきた。彼は取るべき道は社会主義であり、21世紀の社会主義についての議論を始めなければならないと指摘しました。

DA:ええ、もちろん、私はそのことについて常に確信してきました。現在まで起きてきた全ての事が私のチャベスに対する信頼を深めてきました。そこには、この革命の過程を彼が率い、深めてきた巧みなやり方があり、それは庶民の運動に対する場を与え、又新しいアイデアに対して寛容です。今私たちはベネズエラにおいてこの社会主義に関する議論がどの様に扱われているのかを見なければならない。

私たちはみなそれが、社会民主主義左派の部門から、公然と革命的左翼に結びつく者までを含む、多岐に渡る運動であることを知っています。私はこれらが興味深い貢献をするだろうと見ています。過去、「新たな社会主義」を語った欧州の指導者らがおり、彼らは実際には新自由主義を受け入れた。私はベネズエラのチャベスがそうなるとは思いません。

事実、チャベスの立場が強化された今、スペインのサパテロ〔Zapatero;現スペイン首相〕の様な多くの人々が、チャベスは、しばらくは活動すると認め、彼ら自身の「社会主義」の理想と共に、この革命の過程に影響を与えようと試みている。

私は又、もし彼らが現在出している社会主義についての宣言を6年前にしていたならば、この過程は現在達している地点にまで到達しなかっただろう、と観測することはとても興味深いと思います。

私に多大な信頼を与えていることは、世界の全ての場所で私が知っている数えるほどの革命の過程の内、これは実際に進展したものであるという事です。それは全く急進的でない約束から始まりました。時が経つにつれ、それは社会的変容を深めてきました。

JM:その変容は彼ら自身の経験にかかっていたと思います。チャベスは必ずしも急進的ではなかった、いくつかの社会的な改善を導入する発案から始めたのだが、少数支配層〔oligarchy〕と帝国主義者による正面きった反対と、さらに武装した反乱すら起きた。

DA:もちろん、チャベス政府が導入した最初の方策はどれも革命的でもなければ、共産主義でもなく、どちらかと言えば古い社会民主主義の類のものだった(新しい社会民主主義は改革を導入すらしない)。それにも関わらず、この動きは、チャベス政府が行き過ぎたと考えた、帝国と多国籍企業そしてIMF〔国際通貨基金〕と衝突した。

私が思うにこれは部分的にこの衝突が終わった後には、社会民主主義の為の機会が存在しなくなったからだろう。資本家を「脅かしていた」からこそ、社会民主主義と改革主義は過去うまく行っていた。もしも社会民主主義者や改革主義者が提案した限られた改革手段が認められていなければ、その運動はソ連が採った様な「さらに悪い」道を進んでいただろう(ソ連において見られたものが社会主義であったか、そうではなかったかと言う個人的な見解は横に置いておこう)。この「脅威」は既に影響力がない。資本家が社会民主主義の提案する最小の改革に対してすら、少しも興味を抱いていないことは火を見るより明らかだ。改革主義にとっての機会は消滅したのです。

過去数年の間にベネズエラの革命の過程はこの事を理解した。当初、彼らが僅かな改革しか試みていなかったにも拘わらず、資本家、超国籍企業と帝国の暴力とプロパガンダ組織により、彼らは攻撃を受けた。その結果、彼らは別の道を選んだほうが良いと判断した。

JM:現在、国内的そして対外的に、ボリバル革命を脅かす主要な危機は何だと思いますか?

DA:対外的な脅威から始めると、一方では反革命武装勢力〔contra〕による危険があると思います。短期・中期的には米国による直接の介入の危険はないと思いますが、彼らが既にしている事は、ニカラグアのコントラの様な反革命の軍隊を築き上げることであり、これは拡大していくだろう。(今日、ベネズエラ政府はアマソナス州で5人のコロンビア人準軍組織兵を捕らえたと発表した)。彼らが目指している事は軍事的勝利ではなく、政治的な不安定化です。彼らはそれを次の選挙において、社会的変革の過程か中産階級の資本主義の選択ではなく、戦争か中産階級の資本主義という選択を人々に与える局面に持って行きたいのです。

彼らはコロンビアから部隊を編成し、ベネズエラ領に侵入させようと試みるでしょう。彼らは牧場主と地主から(政府が真剣に土地を収用し分配し始めた今特に)支持を得るでしょう。この事が反革命武装勢力を築くことになります。

また彼らはプロパガンダの組織的活動を続けていくでしょう。民主行動党〔AD〕は政治の舞台に戻り、「道理をわきまえた」野党の役を演じ、(影響を与える為)政府との対話の準備をし、国際的な社会民主主義からの支持を得るだろう。

もう1つの対外的な脅威はスリア州における地域運動の発展に対する助成と資金提供です。それは既に語られており、歴史的な前例もあります。スリア州は反体制派の統治下にある地域です。経済的な見地から言って、そこは、その石油埋蔵とコロンビアとの国境を接する地理的に戦略的な場所であることから、この国において最も重要な地域のひとつです。

サパテロと国際的な社会民主主義に対する関係において私が既に述べたように、他の危険は、チャベスをそう簡単に取り除けないと気づいた為、彼らが「熊の抱擁」を与えようと試みることだろう。ベネズエラにおける過程の進行を変える為に、彼らは彼らの「基金」と顧問を通して運動に入り込もうとするでしょう。

国内的な観点におけるこの革命の過程の主要な敵のひとつは汚職だと思います。ベネズエラの政治家の中には、金と個人的な利益を手にするために優秀な側についた者がいすぎます。皆このことを知っています。チャベス自身もこの事を非難しました。そこには汚職がはびこり、役割を果たせずにいるのに、権力の一部を失うことを恐れ辞任しない人々が多数いる。

別の国内問題は、民衆の力を作り出すために真の力を庶民に与える必要性です。個人的な脱落を意味するからこそ、そうしたくない者が官僚組織内にいる。従って彼らは下からくる圧力に逆らい、この革命の過程を中断させている。

全体的な見地から、これらがベネズエラの革命的過程が短期・中期的に直面している危険、障害と課題だと思います。

良き進展を示す局面もあります。それらは経済であり、本当の土地改革の始まりである――農業省が今、1999年に着手されるべきであった事(それが何度も変えられたのは偶然ではない)を実行している。政府はまた次第に物事のやり方を学んでいる。この政府が物事を運営するほんのわずかな経験のみで、突然権力に就いたことを忘れてはならない。

JM:最後の質問です。国際的な連帯運動の主要な課題はどんなことだと思いますか? 「Hands Off Venezuela」や他の連帯団体、国際ボリバル・サークル等を組織している人々に対してどの様なメッセージを送りますか?

DA:様々な課題があると思います。ベネズエラの過程が存続しているのは、幅広い基盤があるからであり、このことから私たちは学ばなければならない。異なった考えを持っていたとしても、もし何かを成し遂げたいと望むのなら、私たちは共に努力しなければならない。ニカラグアやエルサルバドルにおける運動とベネズエラ連帯運動には、ある程度の違いがあると思います。ニカラグアは何も持たず、連帯運動は完全に経済的な観点から寄与しなければならなかった。ベネズエラでは私たちは本当の意味での連帯に立ち戻ることが可能であり、それは他者の闘争と共通点を持ちながら、自らの闘争を発展させるということです。これはとても政治的な連帯なのであり、言い換えれば論議の政治的な取り交わしなのです。

私たちがしなければならないことは情報を広めることです。欧州においてベネズエラで起きている事を明確にしなければならない。ベネズエラについて欧州のニュースとメディアが伝えることは現実と殆んど関係がない。

また、非常に重要なことは学会にさらに浸透することだと思います。政治的な分野において進歩があったとはいえ、学問の分野はいまだに(たとえ左翼を装っている場合でも)右派が牛耳っており、欧州の学会には、ベネズエラで起きている事に対する肯定的な見通し、あるいは正しい評価をする者は殆んどいない。

この情報を欧州の労働組合内の人々に伝えることも重要です。彼らはベネズエラで何が起きているのかを理解し、直接繋がりを築かなければならない。ベネズエラは非常に大きく多様な国であり、欧州で活動している、例えば技師、化学製品業者、組合員、大学教授、学生、あるいは同性愛者であろうと、革命の一部となっている同じような立場の人をベネズエラで見つけることができるはずです。

ベネズエラがただベネズエラに関するだけに終わらず、他の世界の模範になることは重要です。欧州や富める諸国において予算を回せないと語られている、保健、社会保障と教育に関して〔ベネズエラでは〕事は実現している。大学の授業料が導入されたのは、「国家は大学の為に投資できない――それは費用がかかりすぎるからである。」彼らが私たちに保健医療を払わせたいのは「国家がそれを払う余地がないから」、等など。それにも関わらず、欧州において予算を回せれないと言われているものが、貧しい国であるはずの、ベネズエラにおいて試行されている。欧州における新自由主義の嘘を暴露する為に、この事を明らかにする事は非常に重要です。

JM:ありがとうございました。


この映画は英語あるいはドイツ語の字幕付きのスペイン語版があり、注文の詳細はダリオ・アセリニまたはオリヴァー・レスラーから入手可能。



posted by Agrotous at 22:44 | TrackBack(0) | ベネズエラ
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