2007年12月08日

ベネズエラ憲法改正否決(差し当たりは)
〔Venezuela's Constitutional Reform Fails (For Now):Original Article in English/ZNet原文

ジャスティン・ポドゥール〔Justin Podur〕;2007年12月4日

ベネズエラの憲法改正案国民投票は否決され、ベネズエラ野党とは異なり、チャベスは潔くその敗北を認めた。最善の結果は「賛成」の側の辛勝であったのだが、この敗北は地域的及び世界的に消極的な帰結をもたらすであろう。米国の後ろ盾を得たコロンビアのウリベ大統領は、チャベスがコロンビア政府とFARC〔コロンビア革命軍 〕ゲリラの仲介にあたってきた人道的な協和を数日前に打ち切っていた。米国はペルーとの自由貿易協定を協議中である。しばしばみられるように米国の対外政策に仕えているカナダは裏口を使い、自国にも協定を取り決めることによって、米国がコロンビアとの自由貿易協定で合意に達するよう試みている。以上の全てにおいて、エクアドル、ボリビアやブラジルといった諸国の進歩的勢力や政治家達が政治的方針や支持を仰ぎベネズエラに目を向けてきた。国民投票の結果は米国がこうした勢力を孤立させることをより容易にする。

だが、チャベス自身が述べたように、戦いは終わっておらず、これ〔投票結果〕から派生し得る良い事柄がいくつかある。

国民投票の結果は以下である。「反対」の獲得票数は50.7%(4、504、351票)、「賛成」は49.2%(4、159、392票)。棄権率はとても高く、44.11%であった。この数値はコロンビアの「エル・ティエンポ紙」からであり、97%の票が数えられた時点のものである。

結果がどれ程僅差であったかに留意せよ。2004年の〔大統領罷免〕国民投票を含めた過去数年間の通常の割合は、おおよそ500万人がチャベスに投票し、約350万人が反対票を投じていた。今回の国民投票では、約50万人の有権者が態度を変えてチャベスに反対票を投じた。63%の投票でチャベスが勝利した昨年の大統領選挙では棄権率はわずか30%であった。以前チャベスに投票した多くの者が棄権し、中には反対票を投じたものもいた。

いつも通りの恐怖を煽る戦術や汚い戦術が反体制派勢力や米国によって用いられた。チャベスがミニスカートを禁止するという漠然とした考えから、チャベスがあなたの長男・長女を取り上げるといったことを含めた偽情報が蔓延していた。いくつかの小規模の資本ストライキ〔capital strikes:新たな投資の保留〕、新たなクーデターの脅威や他の手口が行われた。とはいえこれまでボリバル主義者達は、それらの戦術を打ち破ってきたのであり、その中の多くはこれまで以上に強固になったボリバル主義のメディア戦略によって既に暴露されてきている。

どういった良いことがこれから派生するのか? ベネズエラで起こり得る最良のことのひとつは、現状では起こりそうもないが、それが社会主義、大衆参加や民主主義が通常の事柄、ある社会が選ぶ通常の選択のように思えるようになることである――エリートや米国のためでなければ、ベネズエラ人や中南米の人々にとって。その代わりに、選挙が行われるたびに両極化が起こる。この革命的プロジェクト全体が不安定な状態にある、未来の全てが予断を許さない、そして帝国の暴力がすぐそこに迫っている、またチャベスに反対票を投じることは反動的な帝国主義の勢力の側に付くことである、という印象が。そうではなく、もしこの投票がチャベスが提示したように見られたならば、つまり進行中の過程の前後関係における特定の案の(彼の有名な台詞である)「差し当たりの〔por ahora〕」挫折であると見なされたならば、それはとても良いことであろう。

ベネズエラの革命にはふたつの関連した欠陥がある。一つめは、全国的なテレビ上のイメージや独自の意見を持ち合わせた顕著な指導者たちの欠如である。チャベスの側に付いており、革命の過程の一部を担っているのだが、わずかに異なる案や戦略的着想を持っているような者たちである。これは数々の革命が生み出すのに常に苦心してきたことである――それは常に単一の人物に集中するように思われる。

二つめの問題は、革命過程内で異議を唱える余地を与える上での、主として米国と帝国主義に起因している障害である。ボリバル主義者たちが反体制派に対して信じられないほど寛大であり、米国やカナダでは許容されないであろうような政府に対する言論や行為を可能にしていることは事実である。とはいえ、より困難で、如何にして達成するのかが不確かなことは、ひとつのグループあるいはその他が反体制派に転向することなく特定の案に関して運動内で議論を可能にすることである。反体制派が350万票に加えて途方もないメディアの力、外国からの財源、そして最終的には軍の後援を有している状況で、それを行うのはとても困難なことである。しかしながら、今回の国民投票の結果が役に立ち得る。反体制派の有権者を実際に分断することが可能である。チャベスは独裁者ではなく、民主的な結果を進んで受け入れるということを示すことによって。それはこれまで野党が渋ってきたことである。

この敗北に関して絶望することはない別の理由は、国民投票自体の脆さである。最も重要な欠点はそれが「総括的な」国民投票であったことである。有権者は一括案全体を承認、あるいは否認しなければならなかった。この一括案のある部分は刺激的なものであり、その他はそれ程でもなかった。訳注1

この国民投票には筆者を心配させた三つの問題があり、それらのみで提示されたならば筆者は反対していたであろう。それらは任期制限の撤廃(これは世界の多くの統治権にその制限がないことを考慮すると、比較的に重要ではない問題である)、役人を任命・解任させる大統領権限の拡大、そして7年任期である(その両方とも同等に筆者が反対票を投じる理由は、それらが将来ボリバル主義者に対して用いられる可能性があるからである――誰が権力を得た反動的な体制に7年間も耐えたいと思うであろうか?)。拡大された社会福祉から人民権力の創設まで、この憲法改正案にはとても良く又興奮させる内容が含まれていたのだが、態度を変えた約50万人の有権者がこれら三つの問題点のために態度を変えなかった、と知りえるであろうか? ボリバル革命に対する支持はこの国民投票に対するよりもはるかに強固なものであり、潜在的な支持は(高い棄権率と先の大統領選挙の結果を考慮すると)さらに大きい。ベネズエラの二つの側でボリバル主義者たちの方がより民主的であったことを私達は常に知っていた。この敗北を受容し革命の過程を継続していくことが、そのことを多くの者に証明することになるであろう。

ジャスティン・ポドゥールは2004年の〔チャベス大統領〕リコール国民投票をベネズエラからZNetのために取材し、コロンビア・ベネズエラ問題について論述する。彼はトロントを本拠地とし、justin@killingtrain.com から連絡可能。


訳注:

1.実際にはチャベス大統領が提出した一連の改正案(Aブロック)と同時に国民議会が提出した別の一連の改正案(Bブロック)をめぐって国民投票は行われた。ベネズエラ中央選管によって公表されたそれぞれの結果は以下(参照元)。

Aブロック:
反対50.70%、4、504、354票
賛成49.29%、4、379、392票
開票数8、883、746
無効票118、693
総投票数9、002、439
棄権44、39%

Bブロック:
反対51.05%、4、522、332票
賛成48.94%、4、335、136票

またAxisofLogicで報道された最新の結果(開票率94%)は以下。

Aブロック:
反対50.65%、4、521、494票
賛成49.34%、4、404、626票

Bブロック:
反対51.01%、4、539、707票
賛成48.99%、4、360、014票

投票率56.15%

この中には主にアマソナ州やデルタ・アマクロ州に位置する電子投票システムが利用されなかった地域の票が未だ含まれていない。これら2州の電子投票システムが利用された地域では賛成票が圧倒的に多かったという。

posted by Agrotous at 20:41 | TrackBack(0) | ベネズエラ
この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/71691887
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。