2007年11月03日

エクアドルの前途有望な社会変革
〔Promised Social Change in Ecuador:Original Article in English/ZNet原文

スティーブン・レンドマン〔Stephen Lendman〕;2007年10月16日

ラファエル・コレアは昨年11月にエクアドルの大統領に当選し、社会変革を約束し、1月15日に就任した。彼はこの国の過去10年間で8番目の大統領である。その中には失政や公務怠慢に反対する大規模な街頭抗議によって失脚を余儀なくされた3人の前任者も含まれる。コレアは今約束を果たさねばならず、エクアドルの歴史で177回目となる今回こそは正しく行うことが望まれている国の憲法改正のための制憲議会選挙での国民同盟〔Movimiento Alianza Pais:政府与党〕の大勝によって後押しを得たばかりである。選挙の最終結果を待つ中、コレアの支持者らは約70%の票を獲得し、全議席130のうち80議席を勝ち取った模様である。それは変革を推し進めるには十分な過半数ではあるのだが、それを行うことは容易ではなく、コレアの立場が試されるのはこれからであろう。

長年の中南米専門家であるジェームス・ペトラスはこう記す。「現在のエクアドルは基本的な社会変容のための好機を得ているのと同時に、帝国のネットワークからの重大な脅威にも直面している」その地域の諸国家が常に直面してきたように。近年、都市や地方の結集した大衆階級が新自由主義体制を追い払ったのにもかかわらず、それらがいわゆる中道左派の指導者(彼らは左派でも中道でもない)として再び現れるのを見てきた事の次第を彼は書き留める。その中にはブラジルのルーラ、アルゼンチンのキルチネル、ボリビアのモラレス、ウルグアイのバスケス等が含まれる。ウゴ・チャベス〔ベネズエラ〕でさえ、「実利主義的な左派」の立場から統治している。彼は草の根の参加型民主主義及び再分配方式の社会政策を財界に対する支持に組み合わせている。とはいえ、先立つベネズエラの指導者達よりも公平な基準で行っている。

ぺトラスはフォーブス・マガジン編集者の批評を引用する。それはルイス・エチェベリア元メキシコ大統領(1970−1976年)に関するものであり、とても啓発的であり、コレアの挑戦を説明している――「彼は左派に語りかけ、右派のために働く。」それは現在中南米においてかなり一般的であり、典型的な例Aとして、かつての労働党創設者で国の現大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ(2002年から現在)のブラジルが目立っている。

ルーラは社会変革を約束したのだが、裏切りを呈した。当選する以前に彼は既に、変化はなく通常通りの取引を約束する覚書をIMF〔国際通貨基金〕と交わしていた。彼は最大限の債務返済や返済条件に、そして経済の安定や新自由主義政策を後援することに同意した。彼は彼らを落胆させなかった。

明白な過半数を伴い就任するやいなや彼は公務員の恩給を30%削減し、彼の農業政策は農業関連産業に補助金を支給し、土地を再分配するという土地無し農民運動(MST)との彼の約束は破られ、医療と教育に対する支出は削減され、労働者を解雇し退職金を削減する雇用者の権利は支援され、複数の国営企業の広範な民営化は後援され、残忍な〔ブラジルの〕軍隊がハイチを占領し、右派の銀行家や大企業の幹部らや自由市場商人たちが経済大臣や中央銀行重役に任命された。彼の業績を要約してペトラスはこう述べる。「ルーラは右派の新自由主義に属する政治家の特徴に合致する」のであり「中道左派」ではない。

ネストル・カルロス・キルチネル現アルゼンチン大統領は典型例Bである(2003年から現職、10月28日に大統領選挙が予定されており、世論調査では大統領の妻〔クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル〕が勝利する情勢である〔予想通り当選した〕)。ルーラと比較すると、どれ程彼が進歩的に思われるか、とペトラスは観察する。彼は失業率を20%から15%に減少させ、年金や賃金を増大させ、国の対外債務の一部を再交渉し、成果が殆ど現れていないとはいえ軍による拷問に対する免責を廃止した。

対照的に、アルゼンチンの主要産業分野における「詐欺的な民営化」は覆されず、不平等は是正されず、またはある部門においては増大し、貧困の水準は未だに30%に近く、10%のインフレがわずかばかりの収入増加の効果を薄めさせ、社会経済権力の構造に代わり映えはなく、アルゼンチンの残虐な軍隊はハイチを占領しており、中央銀行家らや経済大臣らは極右であり、債務返済が医療・教育支出よりも優先されており、2001年の経済崩壊およびそれに続いて起きた暴動の後、統制されない資本主義は支持された。ペトラスはキルチネルを、アルゼンチン財界の助けになる「時に、米国に進んで異議を唱える実利主義的な保守」であると評価する。社会民主主義者であることに関してはどうなのか? 忘れた方がいい。

ボリビアの大統領で史上初の先住民族出身の国家元首(2006年―現職)のフアン・エボ・モラレス・アイマは典型例Cであり、ルラと共に、最大の失望である。ペトラスは彼の政権を、その支持者を裏切り、政権に就いた途端に新自由主義を受け入れる「『中道左派』体制の最も際立った例」として引き合いに出す。外国投資家による天然資源所有を擁護した先の2人の大統領〔ゴンサロ・サンチェス・デ・ロサダ及びカルロス・メサ・ヒスベルト〕を大衆暴動が辞任に追いやったのであり、ボリビア人は彼らが成さなかったことをさせるためにモラレスを選挙で選んだのである。その代わりに彼は石油とガスの収用を拒絶し、巨大石油企業を支持し、これまで通りの政策を受け入れた。モラレス式の国有化の下、現在の契約上の合意の数々は影響を受けておらず、国の天然資源は史上最大の数の外国投資家らに売られてきている。

それに加えて、モラレスは痛ましいほどに低い最低賃金を三倍にさせるという彼の公約を破り、代わりに10%底上げし、そして以前からの新自由主義的な緊縮財政及び経済安定政策を継続させた。さらに彼が行ってきたことは、米麻薬取締局〔DEA〕による介入的な駐留や〔コチャバンバ県〕チャパレにある米国防省の軍事基地を黙認し、極右の経済・国防等の諸大臣を任命し、農地改革に反対し、大規模土地所有者らを支持し、彼らに巨額の補助金や租税優遇措置を与えた。又彼は彼を当選させた民衆の利益ではなく、外国投資、社会支出の削減、輸出の優先化や他の親企業の政策を助長することによってボリビア私企業家連合〔CEPB〕を後援した。ペトラスはこう述べる。モラレスは「政治的扇動」を彼の支持層に結び付ける一方で、新自由主義的IMFの緊縮財政と企業向きの諸政策を後援することよって「公共の場を巧みにこなしている。」

以下は9月24日の国連総会におけるモラレスの演説からの前者〔「政治的扇動」を彼の支持層に結び付けること〕の一例である。「……私達は日々人類の将来を破壊しています。敵が誰なのか、(又)人類の終止符を打ちかねない(彼らが成す)損害を精確に突き止め(なければならない)……私は資本主義が人類の最悪の敵であると考えており、もし私達がこの〔経済〕モデルを変えなければ、この体系を改めなければ、(私達の努力)は完全に無駄に終わります……資本主義には双子がいます、市場と戦争です……これが理由で経済モデルを変更(しなければならない)……特に西側世界において。」実際には彼が非難するモデルを喜んで受け入れる人物による何とも見事な雄弁である。

彼が象徴するものはその地域〔中南米〕に吹く「左派の新しい風」という幻想である。とはいえ、あまりにも多くの者たちがブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ペルー、チリ、コロンビア、メキシコ、そしてコスタリカを含む中米全域において同一のことをしている。そこ〔コスタリカ〕における10月7日の国民投票で、米国の脅しは中米5ヵ国・ドミニカ共和国との自由貿易協定〔DR-CAFTA〕を小差で通過させた。国民投票前の世論調査が予測していた逆の結果を立証し得る再集計が未だ待たれている。

それはさておき、中南米全域には左派に対する強力な支持があり、それが行く行くは湧き上がり変化に至る可能性もある。コレアの立場を確実に知るには早すぎるのだが、彼の決意は近いうちに十分に試されるであろう。以下は彼が直面している事柄である。

この地域の米国の支配は未だ強固であり、そうではないと考えることは見当違いである。それ〔米国の支配〕は1990年代の「略奪の黄金時代」の様ではないとはいえ、それは未だに、好景気のベネズエラを含み、商売を繁栄させることができている。それにもかかわらず、志を持った左派の新たな世代がコレアと共に現れており、彼がその内の一人であることを未だ彼は証明しておらず、最終的には期待に背くことも有り得る。

そうではないことを示す機会は訪れている。大統領選挙決選投票で彼は56%の得票で文句なしの勝利を収めた。その後、新たな社会的に進歩的な憲法を創案するための制憲議会を召集するべきか否かを決定する国民投票で圧倒的な82%を得た。コレアはそれが「数々のモデルではなく、各国が自らの特異な現実に従い決定すべきである原則」に基づくであろうと述べる。議会は10月末に召集され、それを完成させる長き苦闘を開始する。それは6ヶ月で終了することが望まれてはいるのだが、必要とあれば更なる猶予が許可される。

外国投資(特に銀行業)に「競争を余儀なくさせる」ことをこの憲法が容易にすることをコレアは望んでいる。彼が反対しているものは独占、因習的な寡頭勢力、そして偏った巨大メディアによる彼の政権への反対である。彼は更に国の負債を再交渉しており、その正当性を評価中であり、その返済に憲法上の制限を望んでいる。また最終的には廃止を目指す計画を持ちながらドルを公式通貨として保つことを意図している。これに加え、彼は中央銀行の独立性を終わらせることに賛成しており、南の銀行〔Banco del Sur〕(11月3日に公式に創設され、〔ベネズエラ首都〕カラカスに本部を置く)に加盟しており、4月に世界銀行の代表を国外追放しており、IMFとの関係を終わらせる過程にあり、現行の新自由主義体制を「政府の計画能力を回復させ、連帯の体制という構想の始まり」にするよう促進するものへと変えることを目指している。

コレアの親密な経済顧問で9月30日の〔制憲議会選挙での〕主要な投票獲得者であるアルベルト・アコスタ〔Alberto Acosta〕は、国の「経済は人間を基礎に置くべき」であり、資本や投資、利益動機や国家の運営は人間の必要性に従うべきである、と述べた。もしコレアがこの見解を支持し完全に後援したならば、彼の幸先は良いと言えるであろう。どうなるかを知るにはまだ早いのだが、初期の徴候からいうと前途有望である。

彼は望ましいことを語るのだが、それが口先だけではないことを証明し始めている。彼は社会民主的な変化と「市民の革命」を約束しており、国の石油収入を国民のために利用すると述べ、既に建設的な手段が講じられている。10月4日、外国石油企業の〔石油高による〕予定外利益の内のエクアドルの取り分を50%から99%に拡大する一方で、現行の契約を尊重する法令に彼は署名した。この措置の公表時、コレアはこう述べた。「もはや略奪は終わった、もはや降伏は終わった、もはや浪費は終わった。今(エクアドルの石油は)エクアドル人のものである。」その収入は社会福祉や基幹施設のために取り置かれる。

コレアは更に、新しい憲法が草案され、国民投票によって承認された後、大統領職、副大統領職及び議会のための新たな選挙を呼びかけることを伝えた。現行の議会にはコレアが所属する政党の議員がいないため、彼は圧倒的な大衆支持がその状況を変えることを望んでいる。現議会は、コレアによれば「通りに放り出す必要がある」のだが、それは国民が決定する事柄である。とはいえ、民主主義とは単に選挙を意味するものではない。重要なことはその後に起きることであり、それはコレア、制憲議会及び新たに選出される議会に懸かっている。

9月30日の勝利は、9ヶ月で三度目のコレアの偉業であり、彼はこう述べることによってそれを是認した。「エクアドル国民は闘いの中の闘いに勝利した。(それは)確かな勝利であった。」それよりも以前に彼はウゴ・チャベスの「21世紀の新しい社会主義」の呼びかけを繰り返した。「(そして)私達の民主主義、私達の経済、私達の社会を破壊してきたよこしまな(新自由主義)体制(をエクアドルは終わらせなければならない)。」その雄弁を行動で示す時は迫っているのだが、そうすることは容易ではない。

米国政府の長い影はこの地域に付きまとっており、その影響力は左派からの変化に圧力をかけ、打倒を狙っている。それと同時に、エクアドルの様な諸国は相反する利害関係に直面している――右派が求める現状維持、そして大衆が求める真の変化である。〔後者は〕再分配の社会政策や石油・ガス・銀行・土地等の戦略的部門の国有化によって〔行われる〕

ペトラスは望みを持っている。「伝統的な政党の全ての腐敗や激しい分裂は(進歩的な)新しい政治勢力に道を開いている。」彼は「歴史的な幕開け」や変革のための好機を、新たに結成されたPolo Democrático(PD)の「運動指導者や環境保護論者、先住民族の闘争者ら、労働組合の連合」に見て取っている。その政治課題は「制憲議会を国民運動の立法上の力に変える完全な決壊(及び)変換」を呼びかけている。その目標は大胆で革命的である――石油やガスといった基本的な資源を地方の寡頭勢力や搾取的な外国資本の手から取り戻し、「民衆の自主管理」に委ねる「民衆の主権」を確立する、というものである。それは帝国主義と野蛮な資本主義を打ち破り、権力を民衆へと返還させる民族解放の闘争である。いまこそ、コレアと彼の連合がその挑戦に値しているか否かを証明する時である。これまでのところ、少なくとも彼らは取り組む気があるようである。

スティーブン・レンドマンはシカゴに在住しており、lendmanstephen@sbcglobal.netから連絡可。

posted by Agrotous at 20:50 | TrackBack(0) | エクアドル
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