2007年09月01日

ベネズエラにおける労働組合と社会主義
〔Trade Unions and Socialism in Venezuela:Original Article in English/Venezuelanalysis 原文

オルランド・チリーノ&アポレア・ドット・オーグ〔Orlando Chirino and Aporrea.org〕International Socialist Review;2007年7月18日

以下のインタビューはオルランド・チリーノと行われた。彼はベネズエラの全国労働者連盟(UNT)の全国組織者であり、UNTに所属するC-CURA(United Autonomous Revolutionary Class Current〔Corriente Clasista, Unitaria, Revolucionaria y Autónoma〕)の指導者である。インタビューが行われたのは、ウゴ・チャベス大統領が新しいベネズエラ統一社会主義党(PSUV)の形成を提案した後である。当初ベネズエラの左派ウェブサイト「Aporrea.org」に4月に投稿された後、英語に翻訳され2007年5月初旬に「British International Socialism journal」ウェブサイトに投稿された。

3月24日にPSUV形成を提案したときチャベス大統領が提起した諸問題に対するあなたの評価はどのようなものでしょう?

チャベス大統領が打ち出した議論の大きな長所は、それがベネズエラ革命の本質や、PSUV創設のための計画、そして異なる社会部門、特に労働階級によって担われる革命における役割を論じる機会を私達に与えたということです。それは如何にして組織編制を築き上げるのかという議論であり、それは私達が率直に、公に、そして完全な誠実さをもって論じるべきである、おびただしい一連の問題を提起します。

最も気掛かりなことは、大統領が彼が正に非難したことを結局は行ったことです。彼は政治的共食いが左派の諸組織を特徴付けると非難したのですが、その後に彼の見解を共有しないものは誰もが反革命主義者だと述べたのです。私が思うにこれは深刻な誤りです。なぜならそれは議論を促進するどころか停止させ、そして大統領が克服することを切に願っていると述べた派閥主義を助長するからです。

何が最重要事項であると考えていますか?

議論すべき問題は山ほどあるのですが、特に2つ述べさせてください。例として、大統領は改革論者は危険であると言います――私も同意します。とはいえ、大統領が提示している計画は改革派の概念に基づいており、又資本の論理から袂を分かつ見通しがないのです。説明させてください。

1990年代の新自由主義大攻勢の後に、私達は国際資本による数百万ドルの投資をまた再び目の当たりにしています。経済の戦略的な諸部門、例えば石油、採鉱、石炭、建築や基幹施設関係の事業において。中国、ロシアやイランからの国際合弁事業がこれまで以上に私達の労働者たちを搾取しています。私はある多国籍企業がその他よりも良いとは考えていません。それらは全て基本的に生産や市場を独占することに関与しているのであり、労働者を搾取し、諸国の天然資源を略奪し、それらの諸国の経済的な意思決定過程に政治的に介入するのです。それは私達が築いている類の経済モデルの核心に一撃を加えるのです。

大統領は多国籍企業による投資を前進であると表現します。それは革命を抵当に入れることだと私は見ています。私にとって、社会主義に向けた第一歩は多国籍の会社や企業と絶交することです。この政府が行っていることは、その正反対で、益々大規模な経済集団への集中を助長しています。CANTV〔電話会社〕やカラカス電力〔EDC〕の購入がその例です。国家によるこれらの事業の再国有化が前進であるということに疑問の余地はありませんが、商業分野はこの展開に大喜びし、この措置に対する支持を公に発表しました。

同様に懸念を抱かせることは、Sidor〔オリノコ製鉄〕[主要製鉄会社]が「良き資本家達」によって運営されているという理由から国営化されない、という大統領の告知です。実際に、この会社は第四共和国〔チャベス当選以前の政治体制〕の下、民営化されたのであり、アルゼンチンのテチント〔Techint〕社によって率いられた多国籍合弁企業によって所有されています。

私達の理解では、大統領がこの立場を採ったのはその企業が「友好的な」大統領、つまり[ネストル・]キルチネルによって統治されている国に本拠を置いているからです。しかし、いつから私達は「良い」又は「悪い」資本家について語るようになったのでしょう?

今大統領は公に中国への言及を沢山しています。私達は彼にそうしないよう頼みたい。なぜなら数年前に中国で資本主義は復活させられたのであり、現在それは労働者が最も搾取される国なのだから。彼らは現代の奴隷であり、それを率いているのは共産主義者と自ら名乗るのだが、実際には完全に多国籍企業の支配下にある腐った政党です。あげくの果てに、中国は憲法に私有財産の権利を導入したばかりです。中国はほとんど良い例ではありません。

別の重要な問題は革命における社会諸階級の役割です。少数派がそれ自体の意志を多数派に押し付ける制度である資本主義を打倒する唯一の方法が、労働者階級と民衆――多数派であり生産者である私達――が、諸事業を収用し私達の管理下に置く上で先頭に立つことであることを知るのに、マルクス、エンゲルス、レーニンやトロツキーを引用する必要はありません。その様な意味で、私達が社会主義を語る時に意味することは、とても簡素に言明されているのです。

それにもかかわらず、それはベネズエラにおいて益々困難になってきています。主要な経済分野においてですら私達労働者は、労働者による管理どころか、共同管理を計画する立場にありません。政府は戦略的な部門における共同管理〔co-management〕の実現性を検討しません。

Constructora Nacional de Válvulas(現在Invevalと呼ばれる〔内発的バルブ産業会社〕)における私達の同志らは、本当に肉体的な苦難と飢えに耐えなければならず、そして政府が最終的に彼らに耳を貸し、その会社を収用することに同意するまでの間、死に物狂いで闘わなければなりませんでした。Venepal(現Invepal)の労働者達は資本家達に打ち勝つまで10ヶ月闘わなければなりませんでした――その間政府は見て見ぬ振りをしました。そして今Sanitarios Maracay〔製陶工場〕の事例があります。そこの労働者達は国営化のための占拠で4ヶ月目に入っています――しかし政府は未だに、その様な国営化に少しも興味を示していないようです。

これが示唆することは、政府の計画には収用が含まれていないということであり、それはPSUVの計画にも言えることです。とはいえ、そうした方向に行かなければ、私達は社会主義に向かうことはないでしょう。それは単に開発主義的な視点を持ったある種の国家資本主義へと向かうだけです。それは私有財産に触れることはなく、そして資本主義による搾取や、ごく少数による利潤の蓄積が継続することを意味します。

労働組合の自立に関するチャベスの見解はどうなのでしょうか?

それは本当に重要な問題です。大統領は歴史を変えることは出来ないのに、労働組合運動の自立の為に闘う者たちが、第四共和国の体験によってどういうわけか「毒され」てきた、と論じます。それどころか、労働組合の自律は官僚化に対する対抗手段なのです。つまり、それが理由で2002年と2003年に革命は救われたのであり、それが続く限りそれは革命の主要な護衛であり続けます。

CTV(古くからの全国労働組合であるベネズエラ労働者総連盟)は、旧2大政党体制とそれが生み出した諸政府に魂を売り渡しました。40年の間ベネズエラの労働組合運動が最悪の時期を体験した理由は、労働者達が昔からの政党(Copei〔キリスト教社会党〕とAD)や経営者の組織体が戯れたゲームにおける操り人形だったからです。AD(民主行動党)が労働者らの運命を決定し、契約をやり取りしたこと、そして組合やCTVを統制するべく政府と共に動いたことをベネズエラ人は未だに覚えています。私達が記憶に留めるべきことは、2002年から2003年の経営者者らによるストライキがCTVとFedecámaras(経営者団体〔商工会議所連合会〕)による緊密な提携の下指導されたということです。新しいUNT〔全国労働者連盟〕の存在理由は正反対のものです。つまり、労働組合の自立のために闘うこと、及び彼らを政治的統制に服従させたり妥協を認めさせたりする如何なる試みにも対抗するべく労働者らを組織することです。

大統領が覚えておかなければならないことは、2001年の労働組合選挙期間中、皆が知っているようにCTVが莫大な選挙不正を画策した時に、多くの労働者はアリストブロ・イストゥリスが提示した代わりとなる候補者名簿を支持しませんでした。それは正に、彼が政府の候補者であると見なされたからでした。大統領が理解しなければならないことは、私達が階級本能と呼ぶもののために、また階級及び革命意識の水準ゆえに、そして経営者との関係のため、労働者たちの行動は農民や地域共同体、あるいは学生のそれとは異なる、ということです。

他方で、大統領の意見に関して最悪なことは、労働者階級運動の自立のため闘うことで私達が反革命の役割を担っているという示唆です。それは本当ではありません。他の同志達と共に私達は、官僚制に対抗し、社会主義のために闘うのみならず、労働組合の自立の積極的な防衛に最も専念した全国的な労働組合の潮流を築き上げました。UNTの第二回会合が私が論じていることの証明です。そこで起きたことは単に、個人的な不調和があるという理由による、5つの異なる分派や流派の争いや指導者らの言い争いに関してではなかったのであり、それをその様に評したチャベス大統領は誤っています。実のところ、過去2年間に2つの概念の間で「最大の闘い」が進行して来ました――一方では労働組合を政府に関連付けることを望む者たちがおり、そしてその他方、労働組合運動の主権と自立のために闘う私達がいます。

私達の背後には30年に亘る労働組合の努力があり、私達は経営者らや政府、ましてや帝国主義者とかつて一度も妥協したことはありません。また大統領が私達を「第四共和国の有害な残留物」と表現したという理由で、今になってあきらめる気などさらさらありません! 労働組合運動内で私達は、階級原理や民主的方法論のために、そしてプロレタリア階級の道徳性から生まれる誠実さのために根気強く闘ってきました。PST-La Chispa(労働者の社会主義党)として私達は、ウゴ・チャベスの大統領候補を支援した最初の政治団体であったことを誇りに思っています。彼は私達がバレンシア〔カラボボ州州都〕のキサンダ区で計画した最初の会合の数々を、アラグア州の繊維労働者との会合を忘れないでしょう。このように、私達の歴史には非の打ち所がないのです。

CTVに対する闘争の最前線に私達は立っており、FBT〔Fuerza Bolivariana de los Trabajadores 〕(ボリーバル労働者勢力〔現社会主義ボリーバル労働者勢力:Fuerza Socialista Bolivariana de Trabajadores(FSBT)〕)の創設を支持したのであり、また私達はUNTを熱心に後援しています。2002年4月11日のクーデターを阻む最善の活動に私達は加わり、また私達は2002年から2003年の経営者らのロックアウトの間に石油産業を回復させることに中核的に関わりました。私達の経歴は極度に優れたものです。

けれどもチャベスは彼の主張の支えとして偉大な革命家ローザ・ルクセンブルクを引用しました。このことをどう思いますか?

大統領は労働組合の自立に関する彼の反対論の弁護のためにローザ・ルクセンブルクの著述を利用しようと試みました――その一方で私達は彼女の立場を彼女がそれらを記した特異な政治・歴史的な文脈から見る必要があります。労働組合の自立に関する問題を議論した時、彼女はドイツ社会民主党〔SPD〕に言及していたのであり、その組合内のサンディカリスムや官僚的傾向に反対論を唱えていたのです。トロツキー派として私が認識していることは、ボルシェビキの勝利の後まもなくロシアにおける労働組合が自立すべきではないと彼が論じた時、トロツキーが誤っていたということです。幸いにもレーニンがその論争に加わり、彼は自立に賛成の論を唱えました。それが戦争経済という時であり、貧困、内戦、労働者階級や労働組合指導者らに対する身体的な攻撃、そして帝国主義の反革命という神聖同盟を伴う衝突があった時であることを考慮すると、トロツキーの論点には実質的な影響力がありました。しかしながら、彼は間違っており、レーニンが正しかったのです。

このことは私達が信条主義者ではなく、私達が現実を研究し、私達自身の歴史に批判的に取り組むことを物語るでしょう。ロシアで権力を握った官僚主義を一掃するであろう新たな革命のために私達が闘っている故に、数年前スターリン主義者らが、私達を反革命家であると評したことは偶然ではなかったのです。

この議論は労働組合の自立にどういった影響を与えていますか?

多大な影響がありました。例を挙げれば、私達は未だにUNT内選挙を行えずに来ています。昨年、大統領選挙を優先させなければならないという討論がありました。チャベスに対する投票を呼びかけることに私達が反対したのではありません。その呼びかけをする選挙運動の最善の方法が、正当に選ばれた指導者に率いられるべきだと私達は論じました。残念ながらそうはなりませんでした。

別の現実は、公共部門の労働者や石油労働者らが当時直面していた悲劇です。もし労働組合運動が自立しておらず、政府が述べていたことを私達が受け入れなければならなかったのならば、私達はFedepetrol〔石油労働者連合〕や他の連合体によって交渉された契約を承諾せねばならなかったでしょう。その契約は非合法であったのみならず、実際には帝国主義によって後援された経営者らのサボタージュ活動の指揮の一貫だったのです。それを妨げたのが私達の自立闘争だったのです。

同様のことは公共部門の労働者達にも言えます。現大臣は、権限がなく少数派である労働組合指導者らとの取引に多忙です。彼らの権威は、その機構に対する指導部の統制と政府からの支援のみから生じています。

またそこには自立に関した別の問題があります。 FBT と労働省は、UNTがその歴史的役割を果たしていないために消滅すべきである、と主張しています。それと同時に彼らは、類似した組織の設立や、労働組合運動の大部分を取り除くであろう一連の案を話し合っています。それらの案が労働者階級によって真剣にかつ慎重に検討されることは極めて重要なことです。

それはなぜかといえば、私達が自立しているために、政府が犯している誤り――時にぞっとするような誤り――に関する私達の意見を絶えず恐れることなく述べることができるからです。公共部門の労働者らは、彼らの契約が取り決められるために27ヶ月待たされるわけにはいかないのです。またどうやら、石油労働者らは同様の運命に直面しそうです。主要な問題は、労働組合の自立のために努力することは正しいのか否か、そしてそれらの問題を私達が提起することが私達を反革命家にするのか否か、ということです。

もちろん、これは労働組合の自立に限った問題ではありません。それは同様にPSUVと政府の間の関係についてでもあります。PSUV党員は政府と官僚の決定を支持するよう義務付けられるのか? この新党は政府の添え物以上のものになるのであろうか?

命を懸けて経営者のサボタージュに立ち向かった石油労働者がある集会に参加しているところを想像してみてください。その場で、クーデターを計画した人々と取り決められた集団的な契約を受け入れるよう彼が大臣に命令されるところを! これらは討論されるべき重要な問題なのです。

PSUVの開始集会で労働者代表として演説したオスバルド・ベラ〔Osvaldo Vera〕は適切な代表者だったと感じていますか?

全く感じません。と言うのも、彼は労働者に関係する問題をひとつも提示しなかったからです。彼は一般論しか語りませんでした。また私が自問しなければならなかったことは、彼がベネズエラ労働者階級の代表者として演説すべきであると誰がいつ何処で決定したのか、ということです。これは私にとって重要な問いです。PSUVはどの様にして築かれるのか? その集会に参加するためにカラカスに赴き、そして除外されたのみならず、さらに酷い扱いを受け、打ちのめされた同胞との連帯を私は表明したい。大衆からの支持を得ていない州知事、市長や代理人が最前列を陣取っているのを私達はテレビで見ました。そこには経営者らを擁護してきた雇用者らや官僚が出席しており、また人々の利益を反映しない政策の擁護や汚職で非難されている人々がいました。それ故にこれ程の不満があるのです――その理由はこの〔PSUV結成の〕過程が疑わしい仕方で始まったことを人々が知っているからです。

私達C-CURA は、私達の階級に対する忠誠を明確にしなければならないと信じています。経営者や土地所有者、官僚や汚職を犯したもの達のために場所を与えることは出来ないのです。とはいえ、草の根の人々を、あるいは大統領と意見を異にする人々を除外することは完全に誤っています。ベラが労働者階級を代表していないことは誰もが知っていることです。FBTはUNTの中で少数派であるにもかかわらず、彼は立ち上がって全労働者階級の代表として演説をしました。それが理由で、私達はPSUVが条件や資格なしに党内分派を受け入れるよう取り組んでいるのです。誰も強制的に解散させられるべきではありません――それは完全に独断的であり、議論が始まる前に止めるようなものです。また私達は、これらの事柄での大統領や党準備委員会の立場が如何なるものなのかを知る必要があります。

PSUV計画事業の将来をどの様に見ていますか?

人々がそれに強い期待を抱いていることを私達は認めなければなりません。確かにそれは本当の政治的な勝利であると多くの人々によって認識されています。幾年もの間裕福な官僚を満足させる一方で日ごとに大多数を痩せ細らせたその他全ての組織や、MVR〔第五共和国党〕、PPT〔皆のため.の祖国党〕、Podemos〔社会民主主義党〕のような昔からの政党の指導に対する勝利であると。

それにもかかわらず、私が述べなければならないことは、それがチャベス大統領によって提示された仕方では、真の階級の闘士、労働組合運動内で奮闘する誠実な革命家たちをもたらす上で成功しない、ということです。それが私達がこの論争に関与することを強く主張する理由です。私達にはベネズエラで革命的な政党を築く方法に関する見解があり、それは資本家から経済・政治・軍事的権力を奪い取ることが出来る段階へと革命的な過程が継続し発展するためには必須のものです。現在までのところ、PSUVに関する議論においてそのようなものは何も見られません。

重要なことは、この議論が開かれており、誰もが自ら考えていることや、どの様な政党を望んでいるのか、その綱領はどの様なものになるべきか、また如何にしてそれが築かれるべきかを明確に述べることです。私達はその議論の一部であり、私達の貢献の評判を落としたり、如何なることでも私達を非難したりすることを誰に対しても許しません。私達の見解は大統領や党準備委員会によって提示されたものとは異なります。私達はベネズエラ革命のための私達の見解や理想を彼らが聞き入れるよう確かなものにしていきます。

posted by Agrotous at 22:25 | TrackBack(0) | ベネズエラ
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