2005年07月10日

先月中旬、4年程の沈黙を破って、サパティスタ民族解放軍(EZLN)が全面警戒態勢を宣告し、表舞台に浮上した。ただ、後に続いたコミュニケ(公式声明)で武力闘争は否定したのだが、この全面警戒態勢が何を意味するのかが不明瞭で、6月下旬には様々な憶測が飛び交った。この後のEZLNが取る方針を詳しく記した「第6ラカンドン密林宣言」が出された。

この宣言の第一部はサパティスタの闘争の歴史を語り、第二部では、今彼らが置かれた状況と問題点――例えばEZLNの政治・軍事部門は、軍隊であるからこそ、民主的にはなりえない等――を、第三部では彼らの世界観――資本主義は搾取によって成り立っていて、それが新自由主義的地球規模化と共に世界を破壊する、等――を、第四部で、彼らの国メキシコ観――新自由主義に取り込まれた政治家、権利や自由を失くした憲法、そのなかで抵抗する人々、等――を語る。

そして、ここに翻訳・公開する第五部では、彼らが何を望むのかが語られる。彼らが求める方向は、ある種の表出する南の革命のひとつと言えるのではないだろうか?

この第五部に続く第六部「どのように任務を実行するか」は、メキシコ先住民運動連帯関西グループのサイトで閲覧可能。


第6ラカンドン密林宣言
〔Sixth Declaration of the Selva Lacandona:Original Article in English/ZNet原文

マルコス副司令官〔Subcomandante Marcos〕:2005年6月2日

初出はスペイン語で、サパティスタ民族解放軍による
〔英文〕翻訳by irlandesa


V−我々が望むこと

ここからは世界及びメキシコで我々がなにを望むのかを述べたい。なぜなら、我々は我々の惑星で起きていることを観察し、まるで我々がいる場所だけが重要だというかの様に、ただ静かにしているわけにはいかないのだから。

我々が世界において望む事は、それぞれの国でそれぞれの仕方で抵抗し、戦っている人々に、あなた方は孤立してはいないし、我々サパティスタは、我々はとても小さいけれども、あなた方を支持していると伝えることである。そして我々は、どうすれば闘争の中にいるあなた方を助けることが出来るかを検討し、学ぶために、あなた方と話をすることを望んでいる。なぜなら我々が学んだ事は、学ぶことそのものだから。

また我々は中南米の人々に、あなた方の一部であることを、小さい一部ではあるが、我々は誇りに思っていると伝えたい。何年か前、この大陸が照らし出されたことを我々は、はっきりと覚えている。その光は、その以前にボリバル〔Bolivar〕と呼ばれていた様に、チェ・ゲバラ〔Che Guevara〕と呼ばれた。なぜなら時に、人々は旗を取って立ち上がっていると主張する為に、名前を叫ぶのだから。

そして我々は、すでに長い間抵抗の道を進むキューバの人々に、あなた方は孤立していないと伝えたい。彼ら〔米国〕が強いている〔経済〕封鎖に我々は賛成せず、あなた方の抵抗のために、それがトウモロコシだとしても、我々はあなた方に何を送れるかを検討したい。そして我々は北米の人々に、あなた方の酷い政府とそれが世界中に広める危害と、他の国における闘争と連帯している人々はまったく違うものだと伝えたい。また我々はチリのマプーチェ〔あるいはマプチェ:Mapuche〕の兄弟姉妹らに、我々はあなた方の闘争を見守り、学んでいると伝えたい。ベネズエラの人々に、あなた方が見事に主権を、そしてどこへ向かうかを決める国の権利を守っていることを、我々は認めていると伝えたい。エクアドルとボリビアの土着の兄弟姉妹らには、全中南米に良い歴史の教訓を与えていると述べたい。なぜなら、あなた方は今、新自由主義的地球規模化を停止させているから。ピケテロ達〔Piqueteros:道路封鎖(piquetes)等を通じ、権利と社会改革を求める、失業労働者等による諸団体の総称〕とアルゼンチンの若者達へ、我々はあなた方に伝えたい、我々はあなた方を愛していると。また、ウルグアイにいる、より良い国を求めている人々よ、我々はあなた方を賞賛する。ブラジルの土地無し農民〔sin tierra〕よ、我々はあなた方を尊敬する。そして、中南米の全ての若者へ、あなた方がしている事は正しく、我々に希望を与える。

また、我々は社会的欧州〔Social Europe〕の兄弟姉妹に、社会的欧州は威厳があり反抗的で、あなた方は孤立していないと伝えたい。あなた方の新自由主義の戦争に対する偉大な運動は、我々に喜びをもたらす、と。そこから何かを学べるかもしれないから、あなた方の組織化の形や闘争の方法論を注意深く観察している、と。あなた方の闘争にどの様に手を差し伸べられるか検討し、欧州連合の混乱のため価値が減じるだろうから、我々はユーロは送らない、と。だが、あなた方が売り、闘争における事業の助けとするために、民芸品やコーヒーなら送れるだろう。また、抵抗のための力をくれるポソロ〔トウモロコシからできた飲み物〕を送るかもしれないが、実際我々がそれを送るかどうかは分からない。なぜならポソロは我々流であり、もしそれがあなた方のお腹を壊し、あなた方の力を弱め、新自由主義者があなた方を打ち負かしてしまうといけないから。

そしてアフリカ、アジア、オセアニアの兄弟姉妹たちよ、我々はあなた方もまた戦っているのを理解しており、あなた方の意見や習慣をもっと学びたい。

そして世界に対して、我々はあなたを大きくしたい、あらゆる世界がおさまる程に大きく、新自由主義を破壊したく、人類のために戦うことをただ単に止められないからこそ、抵抗しているそれらの世界がおさまる程に。

さて、我々がメキシコにおいて求めることは、左翼の人々及び団体と協定を結ぶことである。なぜ左翼かというのは、我々は新自由主義的地球規模化に対しての抵抗と、全ての人の為の公正、民主主義、自由が存在する国を形成する着想は、政治的左翼から来ると信じているからである。公正は金持ちの為だけにあり、自由は大企業の為だけで、民主主義は選挙宣伝と共にポスターを壁に貼るだけの為にある、現在の様ではなく。また我々は、我等の祖国メキシコが死なない為に必要な、闘争の計画が現れ出るのは左翼からだけだと信じているから。

そして、我々は、これらの左翼の人々や団体と一緒に、我々の様な慎ましく飾り気のない人々のいるメキシコ各地へ赴くための計画を練りたいと考えている。

我々は彼らに何をするべきか教えたり、命令を出したりはしない。

あるいは、現存するものは新自由主義者だということを我々は既に知っているから、ある候補に投票するよう頼むものでもない。

または、我々は彼らに我々の様になれとは言わないし、武器を持って立ち上がれとも言わない。

我々がすることは、彼らの生活がどの様なものか、彼らの苦闘、我々の国に対する彼らの意見、そして我々が負けない為に何をすればいいのか、ということを彼らに聞くことである。

我々がすることは、慎ましく飾り気のない人々の考えをよく聞くことであり、そこに我々が祖国に対するような、同等の愛を見つけられるかもしれない。

そして、慎ましく飾り気のない人々の間で合意を得られるかもしれなく、団結して、国中で組織し、現在孤立し互いに隔てられている数ある闘争の間で合意を得て、我々が望む全てを含んだ行動計画の様なもの、そしてその行動計画を実現する為の案を見いだし、それは「闘争の全国計画〔national program of struggle:programa nacional de lucha〕」と呼ばれる。

そして、我々が話を聞くこととなる人々の間の過半数の合意と共に、我々は全ての人と共に闘争に従事するだろう。先住民、労働者、農民、学生、教員、被雇用者、女性、こども、老人、男性、そしてよい心を持ち、我等のメキシコと呼ばれる祖国――リオ・グランデとリオ・スチアテの間にあり、大西洋を片側に、太平洋をその反対に持つこの国――が破壊され、あるいは売りさばかれない為に闘争に参加したい全ての人と共に。



posted by Agrotous at 20:43 | TrackBack(0) | メキシコ
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