2007年06月22日

中南米諸政権の新しい積極的主張
〔A New Assertiveness for Latin American Governments:Original Article in English/ZNet原文

マーク・ワイズブロット〔Mark Weisbrot 〕;International Business Times / CEPR ;2007年6月13日

政府と投資家――特に多国籍企業――の間の関係は急速に変化しており、それは特に現在中南米において当てはまる。昨月、ボリビア、ベネズエラとニカラグアは多くの国際問題専門家を驚かせた。世界銀行の仲裁組織である投資紛争解決国際センター(ICSID)から脱退する、と発表したのである。ICSIDは投資受入政府と紛争を持つ外国投資家が――先立つ取り決めの下――拘束力のある仲裁を求め事態を提起することができる機関である。

ボリビアの見解では、ICSIDは公平な仲裁機関ではなく、また世界銀行の一部である限りは、その様に振舞うとは予期され得ない。世界銀行総裁ポール・ウォルフォウィッツの辞任へと至った最近の論争によって強調されたように、世銀が185カ国の加盟国を有しているかもしれないが、それは実際には米国政府によって牛耳られている。この機関の運営のために、ブッシュ政権がまた再びブッシュ大統領の密接なネオコン関係者――元米国通商代表ロバート・ゼーリック――を選んだため、この退屈な長話は継続する。世界銀行は長い間――年間230億ドルの貸付によってのみならず、国際通貨基金〔IMF〕によって率いられた「債権者のカルテル」の一部として――その権力を行使し、多国籍企業によって好まれる政策を採用するよう諸政府に圧力をかけてきた。そこには外国の所有、貿易や投資流入に対する制約の撤廃、及び民営化が含まれる。

ボリビア政府は更に、世界銀行の仲裁委員会に政府と外国投資家の間の紛争の裁決をまかせることは、それ以外の利害の抵触がある、と論じている。ボリビアの貿易・統合特別大使のパブロ・ソロン〔Pablo Solón〕は、フランスの国際水巨大企業スエズ社の子会社アグアス・デル・イジマニ社の事例を引き合いに出した。判明したことは、世界銀行グループの一機関である国際金融公社〔IFC〕がアグアス・デル・イジマニ社の一株主であるということであった。同一の機関が紛争の仲裁者及び当事者であるべきでないことは明らかである。

ICSIDの手続きは、他の同じような国際仲裁委員会と同様に、透明性や抑制と均衡、あるいは――例えば米国のそれの様な――本当の訴訟制度を欠いている。それは秘密で覆い隠されている。そして仲裁人を選び出す世界銀行の影響力がそれをとても中立とは言えなくしている。

外国企業を裕福にし、彼らの国を南米で最も貧しいままに留める国の天然資源の奪取を見飽きた大多数によって選ばれた彼らの政府が必要としていることは、巨大企業との関係において彼らが不利ではなくなるよう規則を変更することである、とボリビアは主張している。彼らの主張はもっともである。政府が炭化水素に対するロイヤリティー〔使用料〕率を引き上げ――それと共に最大のガス田の政府の取り分を18から82パーセントへ拡大させ――たゆえに、政府は歳入をGDP〔国内総生産〕の約7パーセント増大させてきた。これは莫大な歳入の増大である。

IMFは自らの各国情報でボリビアに関し、それがロイヤルティー率を引き上げることは自国に損害を与えることになる、と記した。それは誤りであり、米国政府や米国の経済出版業界の大部分の専門家もまた然りであった。こういった業界では、外国投資家を喜ばせることは、外国投資を引き付ける故に、受入国にとって良いことである、ということは自明の事とされている。同様に、外国投資家が好まないことはどんなものでも潜在的な惨事として大抵描写される。

近年物事は特に中南米においてそうはなってきていない。2001年末にアルゼンチンは歴史上最大である独立国による債務不履行に移行し、大部分の経済学者やジャーナリストが、この先幾年もの間過酷な帰結を被るであろう、と予想した。しかし実際には経済は僅か3ヶ月の間衰えた後に、過去5年の間に中国レベルの発展の水準――すなわち年間8.6パーセント――へと回復してきた。ベネズエラはオリノコ川流域における外国投資に対するロイヤルティーを1パーセントから30パーセントへと引き上げ、5月1日には外国企業との全ての合弁事業の過半数の株式を要求した。巨大石油企業――シェブロン、エクソンモービル、英国石油〔現BP〕、コノコフィリップスやその他――はこれらの変更を受け入れ、未だそこで大量に金を稼いでいる。

実のところ、中南米や他の開発途上諸国で起きている事は、1980年代や90年代の経済政策変更を特徴付けた急進主義を是正する試みなのである。それらの変更に起因したマクロ経済的失敗の数々は別として、ひとつの結果は諸政府よりも外国投資家に有利に働く勢力均衡の大転換であった。「投資家対国家間紛争解決手続き」の到来と増加する利用――彼らの利益を侵害する活動のために政府を直接告訴する投資家の権限を伴う――はごく最近の発展である。こういった訴訟の約3分の2が過去5年間に行われた。同様に、二国間投資協定(BITS)の急増があり、現在では2500以上に上り、その多くにICSIDが紛争を仲裁するという規定が含まれている。

とはいえ、世界銀行自体の調査でさえも結論付けたように、これらの「投資家にやさしい」改革を採用することと、国が受け入れる外国直接投資の総量の間にいかなる関連性もあるとは見受けられない。長年の間中国は外国直接投資の受入れ国として全ての開発途上国の先頭に立ってきた。その一方で、政府との紛争に関する外国企業の主要な選択肢は、その国自体の中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)を通した局地的な仲裁であった。

外国投資家に対する中南米諸政府の新しい積極的主張はこれまでのところ著しく成功してきており、何十億ドルという新しい収入を彼らに獲得させ、いくつかの新しい民主的政権が貧困を緩和するという公約を達成することを可能にさせてきた。一般通念では、これらの変化は単に石油や他の鉱物や産物の高値、及び異常に低い利率の一時的な結果であり――上記の全てが開発途上国に更なる代替手段や交渉力を与えてきた、とされる。しかし、これらの変化が制度上のもので恒久的であることのほうがよりありそうに思われる。

マーク・ワイズブロットはワシントンDCの経済政策研究センター〔CEPR〕の共同ディレクター。彼の専門的知識には、経済成長、貿易、社会保障、中南米、国際金融機関や開発が含まれる。

posted by Agrotous at 21:28 | TrackBack(1) | 中南米全般
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Tracked: 2007-07-28 15:05
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