2006年11月18日

ベネズエラ:もうひとつのクーデター進行中か?
〔Venezuela: Another Coup In The Making?:Original Article in English/ZNet原文

クリス・カールソン〔Chris Carlson〕;2006年11月17日

2002年4月11日に、実業家、政治家や陸軍士官の集団は、主要な全国メディアの協力と連係して、ベネズエラの大統領であるウゴ・チャベスを誘拐し、国政を乗っ取った。19人の死者が出た二日間の後、クーデターは結局失敗し、大統領は政権に復帰した。裕福な実業家らや寡頭政治支配者らは、大衆の人望がある大統領を取り除くことが出来なかった。しかし、最近の情勢は、彼らが近いうちに別の企てに出る印象を与える。

大部分の世論調査が、来る12月の選挙でチャベスが大いに優勢であることを示していることから、12月3日の大統領選挙で誰が勝利するのか疑う余地は殆どない。とはいえ、ベネスエラの野党候補らと反対派メディアには、チャベスや彼の政党が選挙で勝利する度に不正を主張する習癖がある。来る選挙のための準備は、ベネズエラの主流メディアがしきりに不正の可能性に言及し、選挙が透明でないと主張する中、既に整えられている。疑問は残る。つまり、過去数ヶ月の間に行われた多数の調査 訳注1が、選挙は接戦にすらならないことを示している状況で、なぜ彼らは不正を主張できるのか? そして二番目に、容易に勝利できるのが明らかな状況で、なぜチャベス政権は不正を働くのか? 答えは、その全てが12月3日の選挙に続く数日に政権を転覆する計画の一環である、というものである。

ベネズエラの野党諸政党は過去数年間に、不正を度々主張してきた。しばしば彼らは、「captahuella 」――一度以上の投票を予防するべく有権者の指紋を採取する機械――に集中する。別の時には、主張は選挙を監督する国家選挙機関のCNEを中心に行われる。反政府派は、この機関はチャベス政権に完全に支配されている、と主張する。これら全ての反対派による主張は、当然の如く、民間メディアによって広く報道され、ベネズエラでは不公平な選挙が行われているという感じを作り出してきた。このように、12月の大統領選挙に関して、人々がそれを信じようと信じまいと、この全ては代わり映えしないことなのである。

とはいえ、先週、野党の党首らはレトリックを増大させ、選挙前後数日のための「計画」を討議した 訳注2。2002年のクーデターの企てに関与した、著名な報道関係実業家のラファエル・ポレオ〔Rafael Poleo 〕が、ケーブル・ネットワークのグロボビシオンで、12月3日、4日、5日の反政府派の「計画」を公言した。その計画は、反政府派を支持する有権者全てに、12月3日に投票するよう呼びかけている。その後の12月4日、選挙が不正であったことを主張し、反対派の有権者らは街頭に出てチャベス勝利に抗議しなければならない。ウクライナの2004年の不正選挙を大衆抗議が覆したオレンジ革命に言及し、 ポレオは選挙不正は既に整っていると主張し、チャベスに反対するベネズエラ人全てに、12月4日に街頭に出て抗議するよう呼びかけた。彼は、野党候補のマヌエル・ロサレスが12月4日にこの運動に参加し、選挙には不正があったと主張するべきである、と強調した。もし彼がそうすれば、ロサレスは21世紀のベネズエラの歴史において最も重要な人物になる、とポレオは述べた。

以上の全てが準備される中、計画の次の段階は、ポレオの言では、「ベネズエラ反政府派に、ばつの悪い政権を我慢させるよう余儀なくさせ続けるのかどうか決定する」よう迫る軍上層部に対する呼びかけである。軍上層部に向けられたこれらの言葉は、要するに政権転覆の呼びかけに等しい。彼は続けて、この12月全てのベネズエラ人が目撃する一連の出来事として、計画に言及した。そして〔その時〕尊厳のある人間としての彼らの運命と、尊敬に値する国家の運命が係っている。明らかに、ポレオは、チャベスが政権を握り続けたら、ベネズエラは尊厳があり尊敬に値する国家ではなくなり、ベネズエラ人が彼を我慢し続けるべきではないことをほのめかしている。しかしながら彼は、チャベスが大多数のベネズエラ人の支持を得ていることを示す世論調査を忘れている。

軍上層部へのメッセージは、一日前のマヌエル・ロサレス候補の似たような呼びかけと同時に起きた。ある政治集会で、ロサレスは軍上層部との会合を呼びかけた。「なぜなら、近い将来起こる政権の移行と変化の準備をしなければならないのだから」と彼は述べた。ロサレスは現在のところ、選挙不正の主張をおこなってはいない。しかし、選挙の条件として彼が以前受け入れていた「captahuella 」マシンの撤去を政府に呼びかけはした。ロサレスは彼が投票に勝利すると断言しているのだが、ほぼ全ての世論調査が彼が大差でチャベスに遅れをとっていることを示している。

著しく類似した方法で起きた2002年のクーデターの企てがなければ、反政府派によるこれらの発言はこれ程暗示的ではなかったかもしれない。とはいえ、2002年のクーデターも政府に対する大規模な反対派の抗議によって口火を切った。政府支持と反政府の集団の間で暴力が勃発したとき、狙撃手と〔カラカス〕首都警察は、チャベス陣営と反政府派陣営両方の無実の抗議者らに発砲した。それに続き、暴力の責任を政府に負わせて、反政府派側の陸軍士官らは、大統領宮殿への爆撃の脅しの下、大統領に公職を去ることを余儀なくさせた。現在彼らがしているように見受けられるのと同様に、民間メディアはチャベスに対抗しデモ行進するよう人々に幾度も呼びかけ、クーデターの舞台を整えた。その後、軍内のある集団の介入を伴い、彼らは政権転覆にもう少しで成功するところであった。大衆デモは彼らがチャベスに政権を返すことを余儀なくさせたのだが、過激な反政府派集団は消え去らず、それ以来の年月、彼らは国を不安定化する企てを続けたのであった。

12月4日、ベネズエラの主要都市で大規模な反対派の抗議があることはほぼ確実である。反政府派の勝利の見込みを示す偽りの世論調査を民間メディアが報道し続けている故に、人口の多くが今、ロサレスが優勢である可能性を信じている。投票でチャベスが彼を負かしたとき、それは大多数の世論調査によれば明白な結果なのだが、主流メディアの操作によって欺かれたベネズエラ人の全てにとって、それは受け入れがたい現実となるであろう。ロサレスと野党党首らは人々と軍令に呼びかけてきた。選挙に続く数日、抗議があることは疑いがない。だが、クーデターはあるのであろうか?

www.gringoinvenezuela.com


訳注:

1−この英文が投稿されたブログ「Gringo In Venezuela」にはこの部分に英ウィキペディア「2006年ベネズエラ大統領選挙」の「世論調査」へのリンクが張られている。以下各当項目抄訳:

  • 11月15日、スペインの「Centro de Estudios Políticos y Sociales 」が公表した世論調査は直接投票でチャベス55.8%、ロサレス25.9%を、間接投票でチャベス59.5%、ロサレス39.1%を示した。この調査がブロガーのAlexander Boydによって調査されたことを留意すべきである。彼は研究所にEメールを出し、彼らは世論調査を承認しておらず、公式ではないと述べた。彼は反政府派よりではあるが、この情報は更なる情報が出されるまで留意すべきである。
  • 11月15日、地元の世論調査「Consultores XXI 」は、チャベス58%、ロサレス40%の世論調査を公開した。
  • 11月15日、「Penn, Schoen & Berland Associates」は、千人の有権者の全国的サンプルを基にした世論調査を公表し、それによれば48%がチャベスに投票するつもりであり、42%がロサレス、1%がその他、そして9%が未決。誤差は3%−3.5%で、マヌエル・ロサレスは誤差内。
  • 11月9日、「Hinterlaces」によって公表された世論調査はチャベス45%、ロサレス27%を示した。
  • 11月7日、「Evans McDonough Company 」による調査で、57%がチャベスに、35%がロサレスに投票することが分かった。投票するのがほぼ確実な者の間では差は拡大し、チャベス61%、ロサレス33%となった。
  • 10月24日、「Zogby International」による世論調査の結果はチャベス支持59%、ロサレス24%、〔人気コメディアンのベンハミン・〕ラウセオ〔Benjamín Rausseo 〕2%。〔ラウセオは選挙日3週間前に立候補を取り下げた。〕
  • 10月12日、「Instituto Venezolano de Análisis de Datos 」による10月1日から10月9日の間に行われた世論調査は、チャベスに対する投票意図51.5%、ロサレス22.7%を報告した。同調査は66.30%がチャベスが選挙に勝利すると考えていることを示した。
  • 9月16日に「Penn, Schoen & Berland Associates」は、2千人の有権者の全国的なサンプルを基にした世論調査を公表し、50%がチャベスに投票するつもりで、37%がロサレス、3%その他、10%未決を示した。その世論調査を基に同社は、「全ての問題でベネズエラ人はチャベスに賛成していない。このことは反対派、主にマヌエル・ロサレスに、変化を起こし彼の立候補の支持を人々から集める時が到来したことを有権者に説得する大いなる好機を与える」と結論付けた。
  • 9月13日、「El Nuevo Herald 」は、1300人の成人を対象にした8月18日から30日の間に行われた「Datanálisis 」の世論調査を報道した。58%がチャベスに、17%がロサレスに投票する気であることを示した。
  • 9月1日、「El Universal 」は「Hinterlaces 」の世論調査を報道した。それは、選挙運動開始後1ヶ月に入り、チャベスに対する支持が6月の55パーセントから8月中旬の48パーセントへと下落したことを示した。チャベスに対する支持の下落は必ずしも、より高いロサレスに対する支持を意味せず、それは後者の有権者の不満に乗じる能力にかかっている。
  • 8月25日、「People's Daily 」は、チャベス58.9%、ロサレス19.3%、ラウセオ6.2%の投票意向を示す世論調査を報道した。
  • 2006年8月20日、「Miami Herald 」は、反政府派の世論調査が40パーセントが自らを「ni-ni」(親チャベスでも親反政府派でもない)であると述べる一方、チャベスは人口の35パーセントを、反政府派は25パーセントの人々の支持を得ている、と報道した。「BBC」によれば、準備段階の世論調査は、チャベスが「疑う余地のない優勢」であることを示している。
  • 2006年5月、「Time 」誌は、チャベスが勝利すると広く予期されている、と述べた。

2−「Gringo In Venezuela」の原文にはこの部分に、ロサレスの演説の模様と、ポレオのTV出演の映像(YouTube:スペイン語)がリンクされている。



posted by Agrotous at 22:08 | TrackBack(0) | ベネズエラ
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