2006年03月04日

ベネスエラに対する矛盾した米国政策
〔 Contradictory US Policy Towards Venezuela:Original Article in English/ZNet原文

アンディー・グドール〔 Andy Goodall 〕; Venezuela Solidarity Campaign;2006年2月20日


チャベス大統領をヒットラーになぞらえたラムズフェルド米国防長官の声明や、中南米における米国益にとって、ベネスエラが最も深刻な脅威であり、北朝鮮とイランとの密接な関係を追求していると述べたジョン・ネグロポンテ情報長官の言明に続き、コンドリーザ・ライス米国務長官が参戦した。

昨日ライスは、ベネスエラについて数ヶ月沈黙した後に、市民団体のスマテ〔 Sumate 〕に対する裁判は「恥ずべき」であると発言し、ポーランドで共産主義を終わらせた「連帯」に似た運動を、ベネスエラで支援する国際的な動員を呼びかけた。

ライスは更に、運送業者ストライキによりベネスエラは燃えており、そのストライキは国際支援を必要としている、と述べた。1970年代のチリにおいてと同様、CIAの黒い手が運送業者団体に潜入している、言い換えればミランダ州のバルロベントのストライキに資金供給している可能性があると判断されていたため、国際メディアはこの発言を報道しなかった。

ライスの攻撃は、水曜日のロンドンでの、チャベス大統領とボリバル革命に対する支持の広範な表明に次いで行われた。「ベネズエラから手を引け〔 Hands off Venezuela 〕」に後援されたベネズエラ連帯運動〔 Venezuela Solidarity Campaign 〕は、ベネスエラ領事館の前で、駐英ベネスエラ大使アルフレド・トロ・アルディ〔 Alfredo Toro Hardy 〕の参列のもと、ベネスエラとその社会・医療・教育計画支持の声明を読み上げた。

同日、66人の労働党下院議員が、ベネスエラとジェレミー・ディア〔 Jeremy Dear 〕に率いられたNUJ〔(英国)全国ジャーナリスト組合〕を支援する文書に署名し、トニー・ブレア首相によるベネスエラに向けた批判を糾弾し、ベネスエラで進められている社会福祉の前進を褒め称える公式声明を発表した。

木曜日に労働党下院議員のコリン・バーゴン〔 Colin Burgon 〕は、これまでのところ72人の労働党下院議員に署名された「ベネスエラにおける進展」を国会で評議する動議〔訳注1〕を提出した。HoV〔この件に関するHands off Venezuela英文記事への原文リンク〕

ライスの最新の声明を考慮すると、英国での草の根や労働組合、そして政治の各部門において生じている、ベネスエラ、とりわけチャベス大統領への支持は重要性を増していることは言うまでもない。英国では、現在ホワイトハウスを牛耳っている極度の右翼政権による、帝国と多国籍企業のうぬぼれに反対する広範な基盤を持つ活動的運動が現れている。

ワシントンにおいて、ベネスエラ大使ベルナルド・アルバレス〔 Bernardo Alvarez 〕は、ラテンアメリカ担当国務次官補のトーマス・シャノン〔 Thomas Shannon 〕との一連の会談を開始した。会談の狙いは、両国間の公式の外交対話を開始することにより、ベネスエラと米国政権との緊張関係を緩和することであった。

しかしながら、初回の会談において建設的な兆候が現れてきた矢先に、ライス氏は、この重要な対話を失敗させるよう意図された「マイクロホンとメディア外交」を使い、別の論争の口火を切った。誰の頭にも浮かぶ疑問は「ワシントンでは何が起きているのか?」である。

最善の解釈では、この政府の一定の段階の間には連絡がないということであり、最悪の場合これは、外交努力を混乱させるべく、またチャベス大統領とボリバル革命に対する国際的な批判を駆り立てることにより、カラカスへの圧力を継続させる、あらかじめ考え出された計画であるということである。

別の解釈は、米国がベネスエラとの外交政策交渉で自暴自棄の段階に到っており、そのことが指揮統制の欠如を助長し、正気の人間には解読不可能な、両極端な、あるいは精神分裂病的な外交政策の態度に帰したということである。

昨夜チャベス大統領は、ブッシュが自らの政府の指揮権を持っておらず、別の要素が米国を統治していると述べ、それを「タカ派」と呼んだ。彼はさらに「チャベスは彼らを発狂させる〔Chávez los tiene locos〕」という、よく知られた台詞を、米国高官らに当てはめることができる、と皮肉った。最後に彼は米国には「対外政策がなく」そして「これは政府ではなく、狂気である」と述べた。

ベネスエラを国際的に孤立させる試み

ライスは「ベネスエラで起きていることに注意を払わなければならない」と告げるため、彼女がオーストリア、スペインとブラジルの外相を含めた欧州連合〔EU〕の外相らと接触したことを明らかにした。

これは漠然としているが、ライスが本当に意味したことは、ボリバル革命が強固となり、その主義思想が南米大陸、カリブ諸国と中米に広がるなか、ベネスエラと、その石油埋蔵と政治の舞台の統制を米国が失ったということである。

国連において〔ジョン・〕ボルトン米国連大使は、ベネスエラを孤立させる別の試みとして、超過勤務をして、ベネスエラが国連安全保障理事会〔非常任理事国〕の議席の取得を妨げている。国連は重要だが、ブッシュとブレアのイラク侵略を防ぐことができなかった故に効力がない。

この状況で米国がとれる手段はいくつかある。対話、外交・国際的にベネスエラを孤立させるか少なくとも試みること、石油埋蔵を確保するべく自らの軍あるいは傭兵を使い侵略の組織、再びの経済妨害行為、チャベス再選を阻止するための選挙不正、あるいはチャベス自身の暗殺である。

ベネスエラ国内問題への止まることのない干渉

彼女の影響力を通じライスは、数ヶ月以内に裁判にかけられる予定となっているスマテ代表らを免れさせようと試みている。スマテは、「ベネスエラ人に民主的過程を教育する」ために、米国の米国民主主義基金(NED)から資金を受け取った非政府組織〔NGO〕である。

そうする代わりに、スマテはこの資金を使い、2003年後半のチャベス大統領に対する罷免国民投票を誘発するための署名収集の団体運動を組織し、国民投票過程を監視し――これは全国選挙評議会(CNE)の領域である――事実上自らを平行したCNEに仕立て上げた。

チャベスを排除する罷免国民投票を偽った勧告国民投票を引き起こすために、スマテは2003年3月CNEに2700万筆の署名を提出した(当時のベネスエラ有権者数は1200万人以下であった!)。多くの署名が写真複写であったことが明るみに出た。これは選挙不正である。

スマテ代表のマリア・コリーナ・マチャド〔 Maria Corina Machado 〕とアレハンドロ・プラス〔 Alejandro Plaz 〕に対し向けられている告訴は、「ベネスエラの民主的制度を覆す共謀」である。ベネスエラ刑法典でこの告訴は「大逆罪」に当たることから、両者は20年から30年の刑期を受ける可能性が大きい。

昨年マチャドはホワイトハウスに出向き、大統領執務室でブッシュ大統領との写真撮影を行った。彼女はライスご本人との会見も行った。思考力のあるいかなる人にとってもこれが示していることは、マチャドやプラスやスマテがNEDの資金を使い、米国政府やカラカスの米国大使館と共に協働して、いかなる手段ででもチャベス大統領を免職させようとしているということである。彼らはベネスエラにおける米国益を、ハバナの米利益代表部がそうしているように、代表している。

「ベネスエラが関与している類の物事を阻む、団結した国際的前線」を打ち立てるライスの先導は明確な定義を欠いている。さらに彼女は、ベネスエラにおける自由な労働組合運動に対する、当局による圧力の緩和を促進する国際的な支援の必要性も語った。ライスが信用を失った労働者総連盟(CTV)を引き合いに出しているのなら、CTVが草の根の支持を欠いた抜け殻以外の何物でもなく、約2年前にベネスエラと国際的にはジュネーブの国際労働機関(ILO)の両者において、全国労働者組合(UNT)に取って代わられたことを指摘する価値はあるであろう。

ライスは、1980年代前期のポーランドのレフ・ワレサ〔またはヴァウェンサ: Lech Walesa 〕による「連帯」運動に似た運動がベネスエラで形成され、チャベス大統領に対する反対がそこから築かれることに賭けている。ベネスエラの人々、労働者、学生や農民の革命的熱情の結果、40年間国を不当に支配してきた伝統的な政治政党は自ら信用を落とし、ほぼ消滅した故に、彼女は正しいのかもしれない。

何ができるか?

ベネスエラの外交家らは、OAS〔米州機構〕やUN〔国際連合〕において孤立状態を阻止することに熟練しており、政府のメディア処理能力は、特にCNNやFoxニュースに対し、またBBCに対する釣り合いとしての、テレスル〔ニュース専門テレビ局〕の到来がアメリカ大陸全土と大部分の欧州に及んでいるいま、著しく改善した。

国内的に、チャベス大統領の安全確保は最優先事項だが、ボリバル革命は広範囲にわたり、さらに強固な国際的な支持を必要としている。

英国で私たちは労働運動の全ての段階で支持が拡大していることを示してきており、いま下院に一定の支持ができあがった。世界中の貧しいものと除外されたものにとって、ベネスエラは帝国主義と搾取に反対するかがり火であり、英国との簡素な比較だけでも目を見張るものがある。

ベネスエラは100%無料の国民医療サービスを構築しており、また民営化が後退するよう迫っている。英国では正反対の方向に向かっており、それはブレア政権による新自由主義政策の承認に起因し、保健医療が基本的人権ではなく贅沢なものにいずれはなる、忍び寄る民営化を伴っている。

VSC〔当記事出版団体〕は、ベネスエラとその人々を支持し、彼らに対する国際的な攻撃に、それがどこから発しようと反対するよう、さらに多くの人々を駆り立てる努力を増大させなければならないことを承知している。英国においてや国際的に、更なる支持をあおぐためには、公共集会はこの手続きにおいて不可欠である。

現在、確定できる脅威は米国であり、その場の革新的な連帯団体とともに抵抗を築き上げるよう働かなければならない。他方では、英国の強大な勢力が、これらの攻撃的な右翼集団を支持していることも明らかである。したがって、違法で不正な介入への政府の支援を妨げ、英国とベネスエラそして中南米大陸の労働者の間の連帯を築き上げるべく、私たちの声が聞き届けられるようにすることは私たちの義務である。

2006年12月3日に大統領選挙が予定されている故に、今年はベネスエラにとって重大な年となるであろう。


〔ベネズエラ連帯運動による原文に対する(VenezuelaAnalysis.com記事の引用としての)注釈〕

全国労働者組合の声明

ベネスエラのトラック運送業者がストライキに従事している、というコンドリーザ・ライス米国務長官の最近の間違った主張に対する答えとして、ベネスエラの全国労働者組合(UNT)は、ベネスエラを攻撃するライスの戦略の否定を公表した。ライスの最近の発言については、「US Secretary of State Reverses Brief Thaw in Relations with Venezuela〔米国務長官ベネスエラとの関係におけるつかの間の緊張緩和を覆す:英文〕」を参照せよ。

ベネスエラに対する国際前線の促進という米帝国の意図は、ベネスエラ労働者により否認されており、ベネスエラでの「運送ストライキ」――それはブッシュの攻撃的な政権の想像と悪意でしかない――を支援することは欠かせないと発言することにより、国際社会を操作しようと意図する場合、なおさらである。

チャベス大統領の合法で民主的な政府に対し抗議しているとされる労働者を支援するよう装うことは、米国がチリでアジェンデ政権に対するトラック運送業者のストライキを奨励したときに利用した古い策略である。この策略はピノチェトの血にまみれた独裁の確立に繋がった。

〔英文記事〕続き


訳注:

〔1〕Early Day Motion(EDM):「通常、審議される見込みのない議員動議の告示。問題への関心を高め、他の議員にEDMへの署名を呼びかける方法として用いられる。」(参照元



posted by Agrotous at 21:43 | TrackBack(2) | ベネズエラ
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